孝学堂について


  孝学堂とは、菅原友山(本名・河瀬友山。その後、養子となり、孝学道人が、
 天保初年頃に水火天満宮内に設けた教育施設で、その名のとおり、
『孝行・孝道』について教えたものです。
  まことに残念ながら、他の当社伝来物と同様、孝学堂に関する資料も
 失われており、詳細は分からなくなってしまいました。
 現在も調査中の為、一部をご紹介します。随時、追加予定です。



孝道の歌


  孝道の歌というものが残っております。
 どうぞご覧ください。


孝道の歌 一
一、

二、

三、

四、

五、

六、

七、

八、

九、

十、

十一、

十二、

十三、

十四、

十五、

十六、

十七、

十八、

十九、

二十、

二一、

二二、

二三、

二四、

二五、

二六、

二七、

二八、

二九、

三十、

三一、

三二、

三三、
たまたまに人と生れし果報には 萬物(もの)のつかさときくからに

まづふた親の大おんを しらでは人といはれまじ

そもゝ我身をたづねみよ 今このやうに身を持つて

暑い寒いも身に覚え 家業職分しるまでに

誰かそだてゝやしなふて いきてゐるぞと元さがしや

みなふた親のおんめぐみ 親のなければ生れ得ず

親のなければ育ち得ず されば親のたかきおん

ふかき恵みを示さんに まづ身の内にやどるより

母のくらうは如何許り もしや我子にあたらうかと

凡べての事に気を付けて 食の養生身のぎやうぎ

十月のうちのうき思ひ 生るゝときに臨みては

いたみ苦みいきしにの さかひに至るものとかや

そのかんなんのうき苦労 文字や詞にのべがたし

二つや三つの頃までは にしも東もしらぬみで

たゞふところにおきふしゝ 不浄をちらし乳をあまし

汚れしめれるふとんには 母のいねつゝかわけるに

子をばそれへといねさせて いたはり育てたまひぬる

ふかきめぐみのかずゞは 濱の砂子のそれならで

數へつくさんよしもなし とかくわが子を思ふより

我身のことは忘れては のみ食ふものゝあぢはひや

あついつめたい事までも みなまづ我がこゝろみて

ただよき程にかみこなし 味よきものゝある時は

我が子にあたへよろこばせ よき衣(きぬ)あればわれはきず

まづ子にきせてよろこぶを 見てたのしみとしたまひつ

またをりふしにすやすやと ねむる我子を見るにつけ

風などひかせて叶はじと そつと着せたるよぎのうち

如何なるなさけやこもるらん 寝入りしその子何ごとか

夢でも見つるか驚きて わつとこゑあげなくときは

胸うちさわぎ取るものも とり敢えずして乳ふくめ

暑いか冷えるかひもじいか はらがいたいかゝゆいかと

ふところ膝へだきかゝえ 手合々々(ちょちちょち)あばゞや手品して

人には阿房とのゝしらる 我子の事とあるからは

ひとの笑ふもなんのその たゞ年月をかぞへつゝ

孝道の歌 二
一、

二、

三、

四、

五、

六、

七、

八、

九、

十、

十一、

十二、

十三、

十四、

十五、

十六、

十七、

十八、

十九、

二十、

二一、

二二、

二三、

二四、

二五、

二六、

二七、

二八、

二九、

三十、

三一、

三二、

三三、
はや立つやうにあれかしな もの言ふやうになれしかな

物喰ふすべもしれかしと くゝめてくはせくちあかせ

箸のもちやう飯椀を もつことまでもをしへつゝ

七つや八つのころよりは よき師をえらび通はせて

文のよみかきかぞへごと 手わざのことも覚えさせ

身のすこやかに生ひ立ちて 末にいたりて人らしく

世渡りするやうなれかしと いたはり育てたまひぬる

あつきなせけもうち忘れ 只われひとり目もあいて

口きくやうになりしかど 思うがゆゑに父母の

のたまふ事もきゝ入れず 仰にそむく不幸もの

その子の生ひ立如何ならん 思ひ出すさへあはれなり

とにもかくにもちゝはゝは 子のあはれみの深ければ

さのしほらしき詞の葉を 我子が言へば山やまに

よろこびたまふものぞかし ましてこまごまきをつけて

朝な夕なにつかへなば 如何にうれしみ玉ふらん

たとへ父母むりなこと のたまふとてもそのむかし

我身の病にかゝるとき 薬はきらい医者はいや

抱いてあるけよ負てよと 言ひたい儘の無理いふて

こけつまろびつ泣きさけび 手のしやうなき御苦労を

かけたることも幾たびか されどもこれにいとひなく

ひるはひねもすよもすがら 介抱のこるところなき

その大恩をおもひなば なに腹たてゝそむくべき

只ひたすらに身を正し つとめはげみて父母の

仰せをかたく守るべし 又ちゝはゝの御こゝろの

休まるやうに身を持ちて なぐさめつくせまゐらせよ

ちゝはゝゐますその内は 遠きところに遊ぶなと

むかしの聖(ひじり)ものたまへり たとへ日毎のなりはひや

学びの子等は尚更よ さては花見や遊山にも

行く先々を告げ知らせ 暮れには早く帰るべし

何処の親のこゝろ根も わが子の家を出しより

わが子の顔を見る迄は けがあやまちはなさゞるか

けんくわ口論しはせぬか あしき場所へいかざるかと

胸をちつかずやすからず あんじ玉へるものぞかし


孝学堂出版物について


 先年、小泉吉永氏の研究と御協力により、孝学堂の出版物について詳しく知ることができました。
 この場を借りまして、御礼申し上げます。

 詳しくは、小泉氏による 往来物倶楽部 内の、往来物ミュージアム にございます。

  「孝学衣慎録」
  「孝学祭礼記」。
  「孝学食禄編」
  「孝学感養記」
  「孝学食慎録」
  「〈孝学社中〉実明記」
  「費八分記」
  「孝学食礼記」
  「孝行繁昌・孝心成就」
  「いろは歌孝行鏡」
   他



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